今回は趣向を変えてブートレコード(ブート盤)について書きます。
僕がブート盤に初めて手を出したのは確か19歳の時だったかと思います。
僕は新潟市内の専門学校生で、年一回の国家試験を受けに
わざわざ上京するという機会があり、ついでにその頃は西新宿にあった
「新宿レコード」というお店に行きました。
今思えば、それが西新宿の輸入盤屋界隈への第一歩だったのですが。
初めての体験だったので気分も高揚していたのでしょう。
多分落ち着きも無く冷静な判断が出来ていなかったのだと思います。
2枚組のLPレコードが目に入り、見てみたら
オジー・オズボーンのライブ盤で、しかもギターはランディ・ローズです。
オジーとランディについてちょいとだけ説明しますと、
オジーという人はブラック・サバスというバンドのボーカリストだった人で、
脱退後にソロアルバムを出しました。
で、ランディという人はそのアルバムに参加したのですが(2枚)、
25歳という若さで飛行機事故で他界してしまいました。
当時はまだ、オジーとランディの組み合わせでのライブ盤というのは日本で
発売されていなかったし、2人でのライブ音源自体が存在するかも不明だったので、
『えぇっ!ライブ音源あるの?』
ってな具合で、これはもう今ここで買うしかない!と。
確か「プライベート盤」という札が貼ってあったような気がしますが、
試聴もせず、店員さんに『どういう意味ですか?』と聞く事もせずに購入決定。
価格は6000円くらいだったと思います。
苦学生にしては非常に痛い金額であり、『やたら高いなぁ』と思いましたが、
輸入盤屋で買う事自体が初めてだったので、
このくらいのものなのかな、と思ってしまった訳です。
で、新潟の自宅に戻ってワクワクしながら聴いてみましたら、
『なんじゃぁ、こりゃぁ!』
音は篭ってるし、音量も小さくなったり大きくなったり、観客の喋り声や喚き声や、
果ては録音者がビールでも飲んでいたのか、ゲップの音まで入っていました。
レコードのクレジットを見てみるけど、目にした事のない会社名です。
ここでようやく、プライベート盤=ブート盤という理解した訳です。
そのレコードはそれっきり聞く事はなく、
オジーとランディの組み合わせでの公式なライブ盤もリリースされたので、
何年かの後に処分しました。
これに懲りて、以降ブート盤には手を出す事はなかったのですが、
それから何年後かに新宿レコードの近くに「エアーズ」という
ブートビデオらを扱うお店が出現し、さらに購入前に試し見が可能でした。
店にはオジーとランディがスタジオライブをやったというブート盤ビデオがあり、
映像を試し見したら、驚く事に案外鮮明な映像でした。
(あくまでも、エロ裏ビデオと比較してのものです)
確か3000円くらいだったので即座に購入しました。
ここでようやく僕の中に、『ブートは悪いものばかりではないのかな』
という気持ちが芽生えたのです。
とはいえ、最近でもブート盤に手を出す機会は滅多にありませんが。
最近では録音技術も良くなってるし、さすがに酷い音質のブート盤は
そうそう出回ってはいないのでしょう。
塔レコードやディスク連合とかでも怪しげなCDが堂々と売られていますしね。
まぁ『売るのならせめて人並みに聞けるモノ売れ!』って感じですかね。