今回紹介するのは、ビートきよしさんの「雨の権之助坂」。
きよしさんと言えば、80年代の漫才ブームの際には、
『やめなさい!』
『よしなさい!』
『いい加減にしろ!』
の3パターンのツッコミだけで、100人に一人の天才芸人ビートたけしさんとのコンビ、
ツービートでの相棒を務め上げたという、現在で言う所の
「じゃないほう芸人」の筆頭格とも呼べる人。
たけしさんがシニカル・アイロニカルな芸風なのに対し、
きよしさんのは、当たり障りのない古風とも言うべき芸風だと思いますし、
つまらないダジャレを言ったりして場を白けさせる事でも、
これまた現在で言う所の「すべり芸」の先駆者なのかもしれません。
たけしさんのオールナイトニッポンでも散々馬鹿にされていたきよしさんのギャグで、
『天国の小噺しようか? あのよ~!』
『キリストは神様なんだって? イエス!』
『ブルースリーが天国行っちゃったんだって? ウチュー!!』
は、その最たるものだと思います。
さて、そんなきよしさん。
『あ~いぼぅ(相棒)にでぇきて、このオ~レにでぇきない訳がなぁいだろぉ』
とでも思ったのか、予想以上に多くのレコードを出されていました。
しかもその多くが上級バカレコードと呼んで差支えないもの・・・
「兼子教授のバラード」のジャケット撮影では、カメラマンの方に
『きよしさん、そのままで!じっとして!動かないで!』と言われ、このポーズのまま
ずっと静止していたんだろうなぁ、と想像するだけで痛々しさを感じてしまいます。
で、「雨の権之助坂」。
これはソロシングルとしては1作目なのかな?
『たけしさんがロックだから、きよしさんはやっぱり演歌ですよ!』
とでもレコード会社から言われたのでしょうか、
演歌というより男性コーラスグループの曲にありそうな曲ですね。
例えば内山田洋とクールファイヴあたりが歌っていたら、
結構ヒットしてた?とも思えます。
しかし、レコードジャケットの衣装が漫才の時の衣装そのままですが、
棒立ち姿も相まってあまり違和感を感じません。
たけしさんのオールナイトニッポンで初期の頃に、
お情けのような形で何回かオンエアされていました。
きよしさんがリリースした曲の中に限れば一番売れた曲ではないでしょうかね。