摩訶レコードブログ

摩訶レコードbot(Twitter)のブログです。

摩訶レコード:奇跡の歌

今回は、山本リンダさんの「奇跡の歌」を紹介します。

f:id:Baka_Records:20190726204742j:plain


リリースは1974年。
リンダさんの28枚目(!)のシングル。

 

28枚目って凄いなぁ。
どういうペースでリリースしてたのやら、、、
と思いきや、調べてみたらリンダさんのデビューは1966年なので
さほどハイペースでも無かった、というね。

 

同年に公開されたミュージカルアニメ映画「ジャックと豆の木」の挿入歌。
作詞が阿久悠さんで作曲が都倉俊一さんって、ピンクレディーの楽曲コンビですね。
リンダさんご自身もこの映画で声優をやられています。


信じる?
信じない?
信じる?
信じない?
どっちなの?
ホラホラ奇跡が起~る
すばらしい奇跡が起~る
信じる人に起~る
信じなさ~い・・・


歌が始まるここまではリンダさん、低い声で、おどろおどろしく、
魔女の如く語りかけています。
結構怖くて、子供なんかは泣いてしまいそう。


駄目よ駄目駄目 駄目よ信じてちゃ
(どんな人でも一度だけ)
うそようそうそ うそよそんなこと
(すごい奇跡が起きるもの)
奇跡なんかは どこにもありゃしない
(誰も秘密に隠してるから)
みんな誰かが作ったお話さ
(みんな知らない)


リンダさん、曲中で高い声と低い声を使い分けて歌っています。
甘い声と、ドスの効いた声とでも表現しましょうか。

 

曲調ですが、どことなくピンクレディーの曲の一部分に似てる気もします。
とはいえ、ピンクレディーのほうがデビューは遅いので、
都倉さん、この曲の一部をピンクレディーで使い回したのかも?

 

あと、昨年、クイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」がヒットしましたが、

そのクイーンの2枚目のアルバム「クイーン2」に収録されている

「The Fairy Fellers Master-Stroke」にも微妙に似ているんですよね・・・
(こちらも同じ1974年にリリース)

  

あと、LIV MOONというシンフォニック・メタルのバンドのAKANE LIVさんという

女性ボーカリストが、「THE END OF THE BEGINNING」というアルバムの

同名タイトル曲で、これと同じ手法を使っています。

探せばもっとあるでしょうね。

摩訶レコードbotとらじおと

僕が本格的にラジオを聴き始めたのは中1の春でした。

 

小6からキャンディーズのファンだったのですが、中1の春に彼女らは
解散・引退をし、テレビではその姿を見る事・声を聴く事は出来なくなりました。

 

そこで思い立ったのがラジオです。
テレビと違って割と頻繁に彼女らの曲を聴けて、なおかつレコードを買わずに
無料で聴けるのです。
今で喩えるならYoutubeみたいなものでしょう。
カセットテープに録音すれば、何度でも聴く事も出来ます。
しかも「リクエスト」という制度があって、自分の願いを叶えてくれるかも?
という事で、あっという間にラジオの虜になりました。

 

最初の頃は地元新潟(AMはBSN、FMはNHK)のローカル番組を聴いていました。
リクエストハガキを出して、それが読まれた時は嬉しかったなぁ。
水谷豊さんの何かの曲をリクエストしたものだったと思います。

 

中2になると、友人から「笑福亭鶴光オールナイトニッポン」の存在を
教えて貰いました。
深夜放送というものを初めて知り、どうやって聴こうか?と悩みました。
その頃持ってたラジカセにはタイマー機能&リバース機能がありません。
目覚まし時計を午前0時59分にセットして寝て、ブザーが鳴ったら起きて
カセットの録音を押して、今度は目覚まし時計を午前1時59分にセットして寝て、
またブザーが鳴ったら起きてカセットをひっくり返して録音して・・・という感じで、
翌日に録音したものを聴く、という方式でやっていました。

 

他には、明石家さんまオールナイトニッポンを聴いていた記憶があります。
確か2部で、午前3時からの放送だったと思います。

 

デビュー前の松田聖子さんが「パンチパンチパンチ」というAMの番組に、
3人組の1人で出ていて、後に聖子さんがデビューして
一躍有名になった時に、『あ、あの人じゃん!』って思い出しました。

 

中3の元旦だったかに、「ビートたけしオールナイトニッポン」が始まり、
それはもう夢中で聴いていましたね。
午前1時から3時までの2時間の放送なので、120分テープで全部録音でき、
それも嬉しかったですね。(その頃はオートリバース機能のあるラジカセ持ってた)
ハガキも何回か出して、2~3回は読まれた記憶があります。
間抜けなものコーナーだったかなぁ。本にも掲載されたっけ。
カロリーメイトのCMに出てたアントニオ猪木。病気の方や身体の悪い方に
ぜひどうぞ、とか言っていたが、猪木本人がホーガンにアックスボンバーを喰らい
身体が悪くなってしまったのは間抜けだ。』というネタでした。

 

その他にもオールナイトニッポンだと、高橋幸宏さんの放送を聴いていました。
たまに原田知世さんがゲストで出てまして、その頃ファンだったもので。
まだ無名だった三宅裕司さんがレギュラーで出てて、
『東京ワンタンの餃子の皮で作ったの』という、つまんない歌を歌っていたのを
思い出します。

 

オールイナイトニッポン以外では、中森明菜さん(これまたファンでした)の
「ひとつめのサヨナラ」とか。あの頃から喋りは静かでしたね。

 

あとはAMで「MLロクテーション」という番組がありまして、大阪の放送局で、
当時の洋楽専門誌ミュージック・ライフの編集部員の酒井康さんと
塚越みどりさんがDJで、なかなか入らない電波と戦いながら聴いていました。


社会人になってからはラジオを聴く機会はめっきり減りました。
それでも音楽系(メタル/ハードロック)の番組だけは聴くようにしていました。

 

最近(でもないけど)だと、ダウンタウン松本さんと高須光聖さんの
「放送室」は毎回聴いてましたね。
全回録音してmp3化しています。

 

有吉弘行さんの「SUNDAY NIGHT DREAMER」も一年に一回くらい聞くかなぁ。

 

そして現在は音楽評論家の伊藤政則さんDJの番組だけは欠かさず聴いています。


あと、コサキンさんのラジオなのですが、実は一回も聴いた事が無いのです。
ホントに ホントだよ!
新潟放送(BSN)がネット局に入ってなかったのもそうですが、
番組そのものの存在を知らなかったのです。
もしも当時存在を知ってたら、毎週のようにハガキを送っていたかもしれません。

摩訶レコード:花の女子大数え唄

「三大 夏が稼ぎ時な人々」といえば、ベンチャーズ、チューブ、稲川淳二ですが、
今回はその稲川淳二さんがリリースした「花の女子大数え唄」を取り上げます。

f:id:Baka_Records:20190712212717j:plain


正式な歌手名は「稲川淳二一座&クッキーズ」。
1984年のリリース。


その頃の稲川さんはまだ、「怪談の語り手」という金脈を発見しておらず、
貧乏そうで気の弱いリアクション芸人として熱湯風呂に入ったりしていました。
口癖も『怖いなー、怖いなー』ではなく、『悲惨だなー、悲惨だなー』でした。

 

一座&クッキーズというのは、男性が稲川さん含めた4名、女性は3名。
稲川さん以外の男性3名は、お笑い芸人&役者さんっぽいです。
女性3名はタレントなのか不明ですが、当時の現役女子大生。

 

作詞が高田ひろおさん、作編曲が森田公一さんとなっています。
森田さんって、トップギャランと一緒に「青春時代」をヒットさせた方でしょうか?

 

歌詞も曲調も、曲名通りに数え唄となっています。
さすがに80年代風というか、やや賑やかな感じ。
宴会ソングっぽい感じもします。
稲川さんの歌唱はそんなに酷くはありません。
男性陣は合いの手を入れ、女性陣は一部で稲川さんの代わりにメインで歌います。
女性陣のパートで曲調が変わりますが、あぁ森田公一さんっぽいな、と感じました。


一つとせ
昼はセクシーな アルバイト
家へ帰れば お嬢さん
それは神田のナントカ女子大
そりゃ可愛いね

二つとせ
ふたまたかけた 恋をして
いけシャーシャーと 暮します
それは目白のナントカ女子大
そりゃやり手だね

三つとせ
見合い写真は くずかごに
鼻であしらい またどうぞ
それは広尾のナントカ女子大
そりゃブリッコね


こんな具合に女子大が10個出てきて、
最後は
終わりとせ
おっとり娘は 卒業後
オフィスラブで ご活躍
花の東京のナントカ女子大
そりゃ愉快だね そりゃ愉快だね
で、終わります。

 

要するに、東京の様々な女子大を皮肉ってるコミックソングなのですが、
実際の大学名が出て来ないのは大学側からのクレームを恐れたからでしょう。

摩訶レコード:しゃっこい北国

今回は、松田晃さんという方の「しゃっこい北国」という曲を紹介します。

 

f:id:Baka_Records:20190706142914j:plain

王道ド真ん中のジャケ買いの一枚。

 

松田晃(まつだ こう)さん。
検索したけど正確な情報は得られませんでした。

 

後楽園のウインズあたりで良く見かけるような風貌ですね。
これで左腕の脇に東スポ挟んで耳の上にペン挿してたら完全体。
常に震えているけどストロング系の飲み物でピタッと止まりそうな右手。
左腕には時計してますね。
何の時間を知る必要あるの?とさえ思ってしまいます。
しかし、もっとちゃんと上まで袖捲れよ、って。

 

東芝EMIからのリリースですが、リリース年は不明です。
EPレコード700円の時代だから80年以降だとは思いますが。

 

作詞:菊地英夫、作編曲:今村錦一。
補作詞・作曲を松田さん本人がやっています。

 

曲調はペーソス演歌って感じ。
結構色々な楽器が入っていて、意外に手が込んでます。

 


突然旅に 出たけれど
夜汽車は雪で 動かない
今夜の宿も ないと言う
あなたに逢って みそラーメン
お金はお前が (手拍子)
払ってくれた

ススキノ銀座 午前二時
キシキシ雪が しばれつく
俺の下宿の 三畳間
屋台で買った トーキビを
仲良くかじって (手拍子)
歩いて行こう

 


舞台は北海道でしょうね。
「あなたに逢って みそラーメン」が、なかなかの謎歌詞。
三畳間の下宿部屋って相当狭いぞ。

 

『しゃっこいしゃっこい』という女性コーラスにも妙味を感じられます。
(コール・アカシアという女性達。)


ちなみに「しゃっこい」とは方言で、寒いとか冷たいとかの意味。
「ひゃっこい」とも言うと思います。
僕の出身地の新潟でも当たり前に使われています。

摩訶レコード:お湯をかけたら/米パン大戦争

今回はEPレコードのA面とB面ともに摩訶な曲という、
コストパフォーマンスに優れたレコード。
藤本房子さんが歌う「お湯をかけたら/米パン大戦争」です。

f:id:Baka_Records:20190629143138j:plain

ジャケットの絵の、”丁度いい手抜き加減”が良いですね。

 

1976年のリリース。
藤本さんは数々のCMソングや、アニメ番組の「パタリロ!」の主題歌を
歌っていた、なかなか特徴的で可愛い声を持った方です。

 

まずはA面の「お湯をかけたら」。
作詞:関沢新一さん。作曲と編曲:はやしこばさん。

オカリナのイントロから始まり、悲しげな雰囲気をも感じる曲調。

 


お湯をかけたら なんでも出来る
べんりな時代になりました
お湯をかけたら 朝飯できた
お湯をかけたら ばんめし出来た

父さん会社へ ヤカンを下げて
満員電車で御出勤
お湯をかけたら 月給袋
お湯をかけたら ボーナス出たよ

お湯をかけたら なんでも出来る
うそか本当か知らないが
お湯をかけなきゃ 損するみたい
ああうらやましい 日本の国は

 


ブレッスン・フォーという男性グループの
「ジャージャジャジャジャー」(お湯だけに)というコーラスも入っていて
最後は序盤の静けさを忘れたような盛り上がり方で曲は終わります。

 

1976年頃は、既にインスタント食品が当たり前の世の中になっていて、
誰でも・手間を掛けないで簡単に・素早く、という事が
重要視され始めた頃かと思います。
そんな世の中の傾向を皮肉ったような歌、と思えますね。

 

B面は「米パン大戦争」。
A面と同じく、作詞:関沢新一さん。作曲と編曲:はやしこばさん。

 

こちらは、うって変わってコミカルな感じ。
大仰なイントロから始まって、コミカルな効果音で作られた主旋律に
藤本さんの愉快な歌声が響きます。
この頃は日本の家庭の朝食が米食中心からパン食も増えてきた頃で
それに合わせてのリリースなのかな?とも思います。

 


父さん御飯が 大好きで
母さんパンしか 食べません
毎朝毎晩 お膳の上で
はじまる米パン大戦争

父さん御飯を てんこ盛り
みそ汁 塩鮭 したがえて
たくあん パリパリ いい味してる
知らない母さん お気の毒

番茶をすするは お父さん
コーヒー飲むのは お母さん
僕はどうする 決まっています
こづかい次第で ございます

あるとき二人に おこづかい
貰った時には 大変だ
僕の小さな お腹の中は
米米パンパン 大戦争

 


最後にチキチキバンバンの如く、米米パンパン米パンパン!
焼けくそに繰り返してるのですが
「世界一どうでもいい戦争」という思いがします。

 

朝ドラの「ひよっこ」で、ヒロインの友人の男の子(みつお)が、
高校を卒業して東京に上京してきて米屋で働くのですが、
その店の主人と娘が毎朝こんな感じで米食とパン食で言い争ってたのを見て、
いつもこの歌を思い出していました。

摩訶レコード:くらいマックス

今回は、村木正人さんという方の「くらいマックス」を紹介します。

f:id:Baka_Records:20190622160908j:plain

 

1972年のリリース。
故・沖雅也さん主演、ヒロイン夏純子さんの東宝映画「高校生無頼控」の主題歌。
ちなみに以前、このブログで沖雅也さんの「青春しぐれ」を紹介しましたが、
あちらはこの映画のイメージソング的なものです。

 

まず歌手の村木正人さんですが、これが謎というか誰なのかが不明です。
「高校生無頼控」の主人公がムラマサ=村木正人という名前なので、
恐らくここから芸名を付けたのでしょう。

f:id:Baka_Records:20190622160936j:plain

写真の人物が村木さん?

 

作詞が小池一雄小池一夫)さん。作曲と編曲が藤本卓也さん。

 

小池さんといえば、「子連れ狼」や「実験人形ダミー・オスカー」の原作者であり、
子連れ狼、大好きです。時代劇の最高峰だと思っています。)
勃起=エレクチオン、というワードを世に広めた方でもあります。
あと、ツンデレ」というワードも小池さんが作ったという説もあります。
この映画も小池さんの原作です。

 

思えば、小池さんは「セックス&バイオレンス」の表現では天下一品の方。
後で歌詞の一部を紹介しますが、モロにそれが表れていますね。

 

対する藤本さん、梅宮辰夫さんの「シンボル・ロック」、
佐久間浩二さんor勝彩也さんの「まぼろしのブルース」、
西郷輝彦さんの「ローリング・ストーンズは来なかった」などを手掛け、
ロックなどに裏打ちされたメロディ・アレンジを得意にされていた方です。

 

そんなお二人が組まれたのですから、普通の作品が出来上がる訳が無く、
もう、詞も曲も狂ってます。
いい意味で。

 

目一杯ワウとファズを効かせたエレキギターと、
クイーカ(できるかなのゴン太の鳴き声みたいなやつ)が交じり合った演奏に、
村木さんのロック歌唱が乗っかっている、格好いいサイケ・ロック歌謡曲
女性コーラスもいい味出しています。
思えば「シンボル・ロック」、「まぼろしのブルース」でもクイーカ使われてた。
藤本さん、相当クイーカが好きなのでしょうね。
僕も好きです。

 


C・L・I・M・A・X
くらいマックス 男!
C・L・I・M・A・X
くらいマックス 女!
愛! 感じる
涙! 感じる
別れ! 感じる
感じる時代 ラブタッチ
いいじゃンか そうじゃンか
うひょひょォ~! くらいマックス


二番ではラブタッチの部分を、映画の内容を微妙に意識して
タビタッチ(旅立ち)に変えてるあたりに、流石のセンスを感じますね。

 


いやぁ、凄いなぁ!
小池&藤本ワールド全開ですね。
ハンセン&ブロディの超獣コンビあるいはザ・ロード・ウォリアーズ並みの破壊力。
奇跡の組み合わせですよ、これ。

 

当時はこの映画見に行って、最初か最後にこの曲が流れた訳なのでしょうから、
お客さんはさぞやテンション上がったでしょうね。

 

小池さん、今年の4月に惜しくも亡くなられました。
改めて慎んで御冥福をお祈りいたします。